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テ ー マ 解 説 『都市経済的自立とパターナリズム』 北海道都市地域学会会長 佐 藤 馨 一 |
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皆様、こんにちは。ただ今ご紹介いただきました、北海道都市地域学会会長を務めております佐藤です。私から今日の都市問題会議の開催主旨と、何をねらいとしているかについてご説明いたします。 本会議のレジュメの表紙を見ますと、北海道都市地域学会が主催者の最初にあります。この順序は違いまして、一番目は北海道市長会、二番目が岩見沢市です。そして三番目に北海道都市地域学会がきて、この都市問題会議の企画運営をともにしてきました。今日までご苦労されてきた北海道市長会と岩見沢市の関係者の方々に心からお礼申し上げます。 毎年、都市問題会議を開くにあたり開催都市でどういう問題が起きているか、またはどういう問題を解決したいかについて色々とお話を聞きます。その上で、本学会の企画委員会でテーマについて掘り下げ、様々な議論や人選を行い、この会議の準備を進めてきました。 今回は「地域主権時代における市民主体のまちづくり」というテーマを設定し、それに基づいて黒川先生の基調講演と、二つのパネルディスカッションを用意しました。それぞれの企画意図は挨拶の中で述べておりますので、それをご覧ください。 ところで「地域主権時代における市民主体」のテーマにおいて、“市民”は非常に大事な言葉となります。まちづくりの主体は市民ですが、それぞれの地区に暮らす住民と市民を同一視してはならないと、私は考えています。住民がそのまま市民になりません。個々の住民は、それぞれ自分に関係する都市問題を解決して欲しいと要望します。その要望は市民の立場からみた時、我慢しなければならないことや、自ら解決する問題であることが多くあります。住民から市民への意識の切り替えが非常に大切になります。 これから行われる基調講演において黒川先生は、わが国の今後のまちづくりの方向を全国的な視野で、私たちに示していただけると思います。さらにパネルディスカッションでは、それぞれの地域が持っている資産をどう活用していくか、具体的な例を挙げながら討論が行われます。また人づくり、市民がどのようにしてそれを高めていくかについて、第二セッションで議論されます。今年はハード志向ではなく、ソフト志向の都市問題会議になると思います。 現在、国土交通省北海道局では次期北海道総合開発計画の改定作業が行われています。私と田村先生、北大経済研究科の浜田先生が起草委員として議論を重ねており、骨子がだいたい見えてきました。これまで総合開発計画は第6期まであり、新計画を第7期と呼ぶかは不明ですが、10年先の北海道の方向が示されます。今回の新しい総合開発計画では「都市における機能の強化と魅力の向上」について大きなウエイトを置いた記述がなされております。今後、パブリック・インボルメントによって皆様方のご意見や提言を述べる機会があると思います。 本計画では「魅力と活力ある北国の地域づくり・まちづくり」という節を設け、広域的な生活圏の形成と交流・連携の強化、さらに都市における機能の強化と魅力の向上等という項が設けられております。中でも特徴的な点は「冬でも暮らしやすい生活環境の創造」について記述しています。北海道の積雪・寒冷な条件は、地域経済や暮らしの障害となっており、快適な冬の生活環境づくりを目指した施策の推進が必要です。 岩見沢市は北海道の中でも豪雪地帯にある都市です。しかし除雪水準は他都市に比べて高い、という評価をしております。雪が降って困ると不平を言うのではなく、雪と親しみ、活用することが冬の生活環境を創造するために大事だと思います。 さらに「人口低密度地域における活力ある地域社会モデルへの取り組み」として人口低密度地域、農村・農林水産業が行われている地域において活力を高めるため方策についても展望が述べられています。そして今日のテーマにも関係しますが、「多様で個性的な北国の地域づくり」と題して、それぞれの地域の個性を活かしながら、そこに暮らす方々の創造性を高めるために地域の協力・連携をしなければならないと述べています。 結局、まちづくり、地域づくりは住む人の工夫、責任で行わなければなりません。雪が降ることや人口が減少することは厳しい外的な環境となりますが、それを前向きに捉え、活用していくこと、このような会議で多くの意見を聞き、知見を知ることにより、希望が生まれていきます。自分の地域は駄目だと諦めていたものが、見方を変えれば別な可能性が開けます。そういうきっかけがこの都市問題会議の中で発見され、持ち帰ることができれば主催者の一人として非常に嬉しく思います。 最後になりますが、わが北海道都市地域学会の宣伝を少しさせてください。本学会は創設から40年経ち、歴史の古い学会です。都市学会と名づけていますが、参加している方々は工学系の方のみならず、農学系、造園系の方々、更に文学系、法律系の方々と、非常に幅広い専門の会員によって構成されています。本日のコーディネーターやパネリストを見ても多彩であり、こうした方々が北海道の都市問題、地域問題を考えていることをご理解いただければと思います。 さらに本学会は日本学術会議の協力学術研究団体に認定されています。このことには本学会において発表し審査された論文は、権威ある学会のものであることが認められたことを意味します。今日のような都市問題会議で実務の方々と一緒に問題解決に臨み、さらに研究活動においても日本においてトップクラスの学会であると自負しています。是非、本学会に加入していただき、一緒に北海道の都市づくりを行うための連携をお願いし、開催主旨説明といたします。 これから5時まで、様々なかたちで意見が述べられると思います。この時間が皆さんにとって貴重なものになるよう、関係者は頑張りますので、大いなる拍手で賞賛していただきたいと思います。ご清聴有り難うございます。 |
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